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第1章 “てんかん”とはどのような病気ですか?

1. どれほどあるか?

てんかんはどこにでもあるありふれた病気です。子どもから大人まで、どんな年齢にも見られますが、多くは小児期と高齢期に発病します。約8割の方は薬により発作は止まります。てんかん発作のために薬を飲んでいる患者さんの数は、人口1000人に8~10人程度と見られています。言い換えれば、わが国にはおよそ100万人の患者さんがいることになります。

てんかんは今日、およそ30のてんかん症候群に分類されています。そのなかには薬を飲まなくても自然に癒るものから、数年あるいはそれ以上薬を飲み続けなくてはならないてんかん、そしてどのような薬を服用しても発作がとまらない難治てんかんまでと様々です。脳の手術によって発作が完全に止まる、あるいは著しく軽くなるてんかんもあります。

2. どうして発作が起きるのか?

てんかんはてんかん発作を繰り返し起こす大脳の疾患です。てんかん発作は、大脳の働きがいろいろな組み合わせで表れるので、その症状は多彩です。しかし、ひとりの人の発作症状はほぼ一定していて、あれこれ変わることはありません。一定した形の発作が繰り返して起きることがてんかんの特徴です。

てんかんは、その原因から二つの群に分けられます。脳に器質的な変化がない特発性てんかんと、脳に器質的変化をもつ症候性てんかんの二つです。

そのどちらであっても、てんかんには共通した性質があります。それは大脳の神経細胞から一斉に出現する過剰な放電(発射)であり、その放電(発射)は脳波に記録される波-棘波(きょくは)として目で見ることができます。てんかんに特有なこの脳波異常は、てんかん発作が起きている最中にはもちろん、発作がないときにも証明する事ができます。従っててんかんは、特有の発作を繰り返し、かつ脳波に棘波が表れる病気と言うことができます。

見かけの発作症状はてんかん発作に似ていますが、てんかんに含まれない病気があります。失神発作、アルコールけいれん、心因性発作、憤怒けいれん、夜驚症などで、これらの病気にはてんかんに特有な脳波異常は見られません。

また、脳波に棘波をはじめとするてんかん性異常が認められるものの、何の発作症状もない場合があります。例えば、患者さんの身内の方に脳波異常が認められることがありますが、一生の間に一度も発作がなければ、てんかんということはできません。

同じ発作を繰り返し、かつ何らかの脳波異常を示しても、てんかんから除外される病気があります。例えば、進行性の脳腫瘍や急性の脳炎のためにけいれん発作が現れる場合があります。これらの急性・進行性の脳疾患が原因となって発作が起きる病気はてんかんとはいいません。

てんかんに発作以外の神経・精神障害が重複する場合があります。例えば、出生時の障害に引き続いて脳性麻痺や精神発達遅滞が現われ、これに重なっててんかんが発病する場合です。この重複障害はてんかんと同じ脳病変に基づくものです。これとは別に、重いてんかん発作を繰り返し反復した結果、知的な障害や精神的な問題などが現われる場合があります。てんかんに重複する障害と発作症状のどちらが重いかによって、医療・処遇上の力点は変わってきます。