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自己コントロールとは

はじめに

発作の自己コントロールとは、薬物以外の治療法として患者さんが自ら発作をコントロールすることをいいます。具体的には、発作の誘因を避けること、発作の最初の兆候(前兆)を知ること、そしてもし可能なら前兆が生じた際に処置を加えることで発作がそれ以上進展しないようにすることです。自己コントロールを行うためには、まず患者さんがご自身の発作と発作が起こる状況をよく観察し記録することが重要です。

1.発作の誘因を避ける

ある特定の要因や状況が高い確率を持って発作を誘発する場合、それらの要因は「発作の誘因」といわれます。具体的には驚いたときや不安なとき、光のちらつきを目にしたとき、ストレスが加わったとき、疲れているとき、お薬を飲み忘れたとき、ゲームをしているときなどです。それらの誘因はそれぞれの患者さんによって異なります。発作を詳しく観察すると発作の誘因を同定しやすくなります。そうすると、発作予測の困難さが減ってきます。そのためには詳しい発作日記をつけましょう。発作日記に、発作が現れた曜日や時間だけでなく、発作の前の状況や発作の始まる前に行っていた行動、体や心の状態なども重要であり記録する価値があります。発作ノートをぜひご利用ください。一定の期間発作を詳細に記録した後に、発作の観察評価に進みます。発作の状況や、発作の発生に関する共通点について比較し、発作の誘因を同定します。その後発作の誘因を避けることを試みます。怒りが発作の誘因となる方は、怒りの感情が出にくくなるようリラックスのためのトレーニングをするのも一つの方法ですし、お薬を飲み忘れがちな方は、わかりやすい場所に薬箱を置いて忘れにくいように工夫する、などといった方法が例として挙げられます。

2.発作の最初の兆候(前兆)を知る

発作の前兆がわかるかどうか、そしてそれがどのようにわかるのかをよく知ることが重要です。前兆は部分発作を持っている人に主に現れますが、すべての部分発作の人に前兆が生じるわけではありません。しかし発作の始まる前の奇妙な症状に気付いてはいたものの、それを発作の前兆とは考えていなかった人もいます。そのため、発作日記には発作が生じた際には気づいたことをすべて書き込むことが前兆の同定のために役に立ちます。例えば胃のあたりにいやな感じが時々あるといったことが、発作を記録していくことで発作の前兆であったとわかる場合もあります。その他、手にムズムズした感じが生じる、高い音が聞こえる、目の前に赤や白いものが見えるなどといった多彩な内容が前兆として挙げられます。

3.前兆が生じた際に処置を加えることで、発作がそれ以上進展しないようにする

発作を持つ人の中に、前兆が生じた際に何らかの処置をし、発作を抑制するように試み成功している人もいます。例えば手がムズムズするという前兆を持つ方は手をこすったりこぶしを握ったりすることで抑制できる方もいますし、考えが飛ぶという前兆を有する人は一点に集中することで抑制できる方もいます。発作を抑制する処置には練習が必要です。どの処置がもっとも有効かは、試みることによってしか明らかになりませんし、その方法は人によって様々です。またそのような処置はてんかんのあるすべての人に効果があるとは限りません。このような処置は、発作が来るのをただ遅くしたり、あるいは軽くしたりするだけにとどまるかもしれません。しかし、発作が来るのが遅くなれば、その時間の間に安全な処置をとってけがを防ぐこともできますし、より良い自己コントロールへの最初の一歩となります。
また迷走神経刺激療法を実施している患者さんであれば、前兆が生じた際にマグネットモードを使用することで発作を抑制できる場合もあります。