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1.小児の難治てんかんとは

 難治てんかんという言葉がありますが、どのような状態の方を指すのか定まった定義があるわけではありません。よく用いられている一つの考え方として、抗てんかん薬を2~3剤使用しても効果が不十分であった場合に難治てんかんとする、というものがあります。これは以前、小児から成人までを含めて対象とした研究で、新しくてんかんと診断された方に抗てんかん薬を使用したところ、1剤目で発作がコントロールされた方は47%、2剤目でコントロールされた方は13%であったのに対し、3剤目でコントロールされた方は1%に過ぎなかったというデータが報告されたからです。しかしこの報告がなされて以降新しい抗てんかん薬が発売になりましたし、小児では3剤目以降を使用しても反応が良かったという経験もないわけではないことから、すべての小児にあてはまる厳密な定義づけはできません。ただ前述のデータもあることから、抗てんかん薬を2~3種類使用してもてんかん発作が消失しなかった方は発作がコントロールされにくい方である可能性はあります。この考え方は特に、有効な他の治療法(例えば外科治療)がある場合には役にたちます。
 小児では、てんかんの原因として遺伝子異常や先天性代謝疾患があるとてんかん発作が難治な場合があります。ただし代謝異常などでは、不足している物質を補うなどといった合併疾患の治療によりてんかんのコントロールが良好となる方もいます。また脳炎後てんかん等で、本来細菌やウイルスなどから自分の身を守るための免疫機能が逆にてんかん発作を誘発・増悪させている例もあり、このような場合では免疫を抑制する治療がてんかん発作に有効なこともあります。
 また症候群については後述しますが、中でも大田原症候群、早期ミオクロニー脳症、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん等は概して難治とされています。