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7.重症心身障害のある方のてんかん

 重症心身障害のある方のてんかん診療が、そうでない方の診療と大きく異なるわけではありません。しかしいくつか配慮しなければならない点があります。
 重症心身障害のある方には、てんかん発作なのか不随意運動なのか鑑別に苦慮する症状が生じる場合があります。例えば四肢を無目的に動かす不随意運動や、周囲の音や触刺激に反応して生じる驚愕反射などてんかん発作と見まがう動きが多く、このようなてんかん発作でない動きに対してはベンゾジアゼピン系といわれる薬剤を除いて、一般的に抗てんかん薬は無効です。したがってこのような動きがてんかん発作か否かを判断することが治療に際し重要となります。可能であれば問題となっている動きが生じたときの脳波ビデオ同時記録を実施し、動きに対応する脳波変化の有無を確認することが望ましいです。
 他に重症心身障害のある方に配慮しなければならない点として、抗てんかん薬の副作用を自分からは訴えられないことが挙げられます。抗てんかん薬の増量中にいつもと異なる兆候、例えば不機嫌になり筋緊張が亢進したり活気が乏しくなったりなどといった状態が生じた場合には、抗てんかん薬による副作用で変化が生じた可能性を疑います。重症心身障害のある方に生じやすい副作用として、クロバザムやクロナゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤では分泌物の増加や眠気が出現しやすく、ゾニサミドやトピラマートでは発汗減少による高体温や尿路結石の形成に注意しなければなりません。バルプロ酸を使用する際にはカルニチン欠乏によるファンコーニ症候群が生じる可能性があり、予防のためカルニチン製剤による補充を検討します。
 さらに、5.抗てんかん薬が情緒に与える影響で述べたように、抗てんかん薬によっては情緒に影響を与える場合があります。興奮すると不随意運動が顕著になる方や筋緊張が亢進する方では、情緒が不安定となるような副作用は、不随意運動の増悪だけでなく、夜間の不眠や、全身状態の悪化を引き起こすこともあります。
 このように、重症心身障害のある方では特に、てんかん発作だけでなく全身状態も視野に入れながらお薬を調節する必要があります。