情報室てんかんに関する記事・情報源(雑誌や書籍の案内)を掲載します。

はじめに

てんかんとはどういう病気か

てんかんは、大脳の神経回路網に起こる異常同期性によって生じる反復、自生する発作を主徴とする病気です。

この異常同期性を生じる神経回路網は脳の局所にとどまる場合もあれば、さらにその他の場所へ広がりをもつ場合もあれば、あるいは全ての大脳皮質領域を同時にまきこむ場合もあります。もっと端的に言えは、自然に、反復するてんかん発作を生じる大脳神経細胞の異常神経回路網形成がてんかんという病気の本体であるといえます。この異常神経細胞回路網形成がてんかんという病気の本体です。この異常神経細胞回路網の活動は、脳波上、棘波、棘徐波として発作のない時でもみられますし、また発作時にはさらに典型的には棘波、棘徐波の群発としてみられます。

てんかん発作を来してくる異常神経細胞回路網の形成は、発作が起こった時に形成されるのでなく、それよりずーと以前に原因があって徐々に出来上がってきます。てんかんの動物実験モデルとしてキンドリング法がありますが、この方法はたとえば扁桃核にごく微小な電流を毎日一回ずつ刺激として通電していると、だんだんと後放電が長くなり、軽い発作がはじまり、その放電が広がってくると発作自体もだんだん強くなり、ついには全身けいれんをきたすようになります。この最初の刺激からけいれんまでに至る時間は動物の種類により異なり、特に霊長類になるほど長く期間を要するようです。日本猿などでは一年近くかかります。また脳のどの部位を刺激するかによっても異なります。したがって原因があるとすぐにてんかん発作をおこす異常神経回路網が形成されるわけではないのです。原因がわからないことがしばしばであるのはこのような理由もその一つと考えられます。

てんかん発作型の国際分類について

発作症状はてんかん発作型として、国際的に分類がなされています。主に部分発作と全般発作の二つに分類されます。大脳の局所にてんかん発射が発生して起こる発作を部分発作と言い、両側の大脳半球の広範な部位にてんかん発射が現れるものを全般発作と言います。

部分発作は発作時に、意識の減損があるかどうかにより、意識が保たれている時は単純部分発作として分類され、意識が減損している場合は複雑部分発作として分類されています。

単純部分発作の中の運動発作は四肢の部分的なけいれんやジャクソニアンマーチをとるものなどを言い、偏向発作は多くは頸の回旋運動で、てんかん焦点側と反対側へ回旋する場合向反発作ともよばれています。姿勢発作は特異な強直肢位をとる発作であり、音声発作は発声あるいは言語停止などです。体性感覚あるいは特殊感覚発作は外的刺激なしに起こる異常感覚や視覚、聴覚、臭覚、味覚などの発作症状です。高次大脳機能障害の発作としての精神発作には、言語障害発作、既視感などを呈する記憶障害発作、時間変容や夢様状態などを呈する認識発作、恐怖、怒りなどをしめす感情発作、大視症などの錯覚発作、音楽、光景などの発作症状を示す構造幻覚発作などが分類されています。

複雑部分発作には、単純部分発作として始まり意識減損する複雑部分発作と、始まりから意識減損する複雑部分発作があります。またこの複雑部分発作には自動症を伴うこともあります。自動症には口をもぐもぐしたり、ものを噛む動作をしたり、口をならしたり、飲み込み動作などの食機能自動症、手をもじもじしたり、服のボタンをいじったり、手をふりまわしたり、こすりつけたりするなどの身振り自動症、あるい動き回ったりする歩行自動症などがあります。また単純部分発作や複雑部分発作からさらに二次性に全般化発作となり、強直間代発作へと発展することがあります。

全般発作は通常発作の初めから意識消失をともない、運動症状は両側性です。脳波は両側性で、両側半球に広くひろがる神経回路網の発射を反映しています。全般発作は、欠神発作(3Hz棘徐波複合を呈する)、非定型欠神、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、強直間代発作、脱力発作あるいは失立発作に分類されています。

(八木和一)