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てんかんとくも膜脳胞について

くも膜のう胞は神経細胞が存在する脳そのものの病変ではなく、これに接する脳表に髄液とよばれる水分が貯留したのう胞です。頭部外傷後に出現することもありますが、多くは生まれながらに認められます。この中の髄液が絶えず入れ替わり循環するものと、少しずつ貯留して拡大していくものがあります。後者の場合、脳を進行性に圧迫していくので、のう胞の壁を開放したり、シャントという髄液を逃す手術が必要な例がありますが、頻度は多くありません。一方、多くは前者の場合で、これは部分的に発育不全をきたした脳と骨の隙間に髄液が溜まるようにのう胞を作っていることが多く、大きさも進行性に変化することは少ないものです。

このくも膜のう胞はてんかんと関連するのでしょうか?

てんかんの原因はあくまで脳の神経細胞による異常興奮ですので、神経細胞自体に何らかの異常な状態がもたらさなければ発作はおこりません。くも膜のう胞によって脳が圧迫され、このために発作が生じるのではないかと考えられたことがありました。この圧迫をとることによって発作がよくなるのではないかと考えた脳外科医は、のう胞の壁を開放して圧迫をとる試みを行いました。確かに一時的には発作が良くなる例もありましたが、その後、再び発作が現れる事例が多く、根本的な治療法とはいえず、最近では上述の進行性に拡大するのう胞以外には手術は行われなくなりました。のう胞からの圧迫がなくなったとしても、脳実質の異常な興奮をきたす神経細胞や発作を引き起こすネットワークが残っている以上、発作はなくならないのです。薬の効果がえられにくいてんかん患者さんで手術が行われますが、くも膜のう胞を合併している例も少なからずあります。しかし、くも膜のう胞の有無にかかわらず、てんかん発作を生じる脳実質の切除を行ってはじめて発作に対する効果が得られます。このような理由から、最近では、くも膜のう胞とてんかん発作は切り離して考えるようになっています。