てんかん情報センター

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迷走神経刺激療法(VNS)

どのような治療なのですか?

迷走神経刺激療法は難治てんかんに対する補助療法の一つで、頸部の迷走神経に電気刺激を与え、てんかん発作を減少させる治療です。また発作の前兆が生じた際に患者さんの判断で刺激を加えることで、その後実際の発作へと進展するのを抑制できる場合もあります。

どの程度の効果が期待できますか?

この治療は発作を完全に抑制することを目的とした治療ではありません。しかし2年間この治療を継続すると、約5割の患者さんで発作回数が半分前後になるといわれています。その他にも情動が安定するなどといった効果が期待できます。

どのような副作用がありますか?

薬物治療と異なり、眠気やふらつきといった副作用や体に合わなかった際に出現する薬疹などの恐れがありません。しかし電気刺激によって咳やのどに違和感が生じることがあります。おおむね慣れていきますが、改善しない場合には刺激強度を調節することで対応します。また頸部から下の部位のMRIは足首、膝、手首以外実施できなくなります。

装置を埋め込むための手術はどのようなものですか?

手術は左の頸部に走っている迷走神経に電極を巻き付け、リード線を皮下に通し、左の胸部に直径5センチ弱のパルスジェネレータという刺激発生装置を埋め込みます。手術は全身麻酔下で、概ね数時間で終了します。現在は術後最低1〜2週間の入院が必要としています。頸部と胸部の2か所に小さな切開部の傷跡が残りますが、時間とともに目立たなくなります。術後6年前後で電池の寿命が尽きますので、パルスジェネレーターを交換するための再手術を必要とします。

実際の刺激(治療)はどのように行われるのですか?

術後数週後より刺激を開始します。最初は弱い設定から開始し、その後徐々に刺激強度を発作状況に応じて調節していきます。そのため定期的な通院が必要となります。