Q&A

妊娠と出産

1.妊娠前から注意することはありますか?

てんかん発作の頻度、患者さんの育児能力、期待できる家族からの援助などを考えて、妊娠・出産が現実的に可能か、家族を含めて十分に話し合っておくことが大切です。妊娠に際してどのような注意が必要か、主治医の先生に質問して、あらかじめ情報を得ておきましょう。

どの薬でも児に奇形を生じる可能性は否定できないため、またほとんどの奇形は妊娠初期、場合によって妊娠と気づく前の早い段階で生じるため、薬物の変更は妊娠の可能性が生じる前に行っておくことが奨められます。

一般に、できるだけ少ない種類とできるだけ少ない量の薬が推奨されています。またバルプロ酸の大量(特に1500mg/日以上)は避けた方がよいと言われています。ただし、強直間代発作(けいれん発作)やけいれん発作の重積は児にも母親にも好ましくないため、大きな発作はおこらないように薬を調節しておくことが大切です。

妊娠の可能性のあるときから妊娠経過を通じて、葉酸を0.4mg/日以上摂取することが奨められています。葉酸は奇形、特に二分脊椎の発生率を減らすと言われています。また一部には葉酸の内服により精神発達に良い影響を及ぼすと述べられている報告もあります。葉酸はドラッグストアで購入できます。1粒が0.2mg ですので、日に1回2粒の服用で構いません。

2.避妊薬は服用して大丈夫でしょうか?

避妊ホルモン剤で発作が増えることは知られていません。ただ、避妊ホルモン剤には肝酵素誘導薬 (フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、トピラマート、ラモトリギンなど) との相互作用があるため、避妊ホルモン剤の効果が減じることがあります。

また、経口避妊薬によりラモトリギンなどの血中濃度が低下することがあります。

3.妊娠中にはどのようなことに注意したらよいでしょう?

てんかんの主治医と産科の先生を定期的に受診し、診療情報を交換していただきましょう。

妊娠により発作の頻度がどう変化するかについてはまだ一定の見解はありませんが、発作の頻度が変わらない人が多いと言われています。

妊娠中に抗てんかん薬の血中濃度が低下することがあります。しかし、妊娠中は血中蛋白減少により遊離型抗てんかん薬が増加するため、血中濃度低下により必ずしも薬物効果の低下につながるとは限りません。発作が増えた場合には、主治医に相談しましょう。

強直間代発作(けいれん発作)やけいれん発作の重積は、切迫流産、早産の原因となりえますので、注意が必要です。

てんかんのある人で妊娠中の合併症が多いということは知られていません。

4.普通の出産が可能でしょうか?

基本的には普通分娩が可能です.ただ、出産に時間がかかる場合は服薬を忘れないようにすることが大切です.出産時、出産後に発作が増えることは知られていません。

5.出産後に注意することはありますか?

育児のため母親は睡眠不足になることがあります。その結果、発作が悪化することもありえます。体力的にも精神的にも支えとなるように、家族の協力が大切です。

妊娠中に薬の増量をした場合には、出産後に薬の量を再チェックしてもらいましょう。

6.抗てんかん薬を内服中ですが、母乳は与えてよいですか?

基本的に授乳は奨められています。多くの薬はその一部が母乳に移行しますが、薬を内服中の母親が母乳育児を行うことで児にトラブルがおこるという証拠はなく、授乳を控える必要はないと考えられています。ただ、もし児に眠気が強い、筋の緊張が弱い、哺乳力が低下するといった様子がみられるときは、母乳と人工乳を交互に与えるなど、母乳の量を減らす対応が必要となる場合もあります。