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Q&A

後発医薬品(ジェネリック)とは何ですか?

薬はある製薬会社によって開発され、国による厳密な審査を経て市場に出ます。しかしある年限がくると特許が切れて、他の製薬会社でも製造して販売できるようになります。最初に売り出された薬を先発(医)薬(品)、別の製薬会社から後で売り出されるようになったものを後発(医)薬(品)といいます。先発薬は開発や審査に多大な経費がかかりますので一般に値段が高く、それに対して後発薬は安くてすみます。

医療費が安くてすむならそれに越したことはない、のですが、問題がないわけではありません。実は、後発品が製造販売承認を得る際の条件は、その薬の体内で吸収されたり、分解されたり、目的の効果を出す過程が先発品と80-125%同じであるということなのです。つまり先発薬と後発薬の効き目には20-25%の差があるのです。効き過ぎる場合(副作用が出るかもしれない)も、効きが弱くなる場合(病状が悪くなるかもしれない)もあります。薬についての情報提供も後発薬では少なくなります。

多少効果に差があっても問題がない薬が圧倒的に多いのですが、自分の服用している薬が後発薬に切り替わって問題ないのか、すでに後発薬を使用している場合でも他の後発薬に切り替わって問題がないのかどうかは、主治医や薬局で確認してみることが望まれます。

抗てんかん薬の場合

てんかん治療で使用される多くの抗てんかん薬は有効な薬の量の幅が狭く、少量の変化で病状の変化が生じる可能性があります。特に、長く発作の抑制されている患者さんで急に薬が入れ替わると、思わぬ発作の再発や副作用が生じることがあります。また、血中濃度をあわせてやっと止まったというような方の場合も心配です。海外でも一部の患者さんでそのような事態が生じたとの報告があります。

先発薬と後発薬の差が科学的にしっかり解明できていれば対策も可能であり、このような懸念は解消するでしょう。しかし残念ながら必ずしもしっかりしたデータがないのが現状です。

したがって、一般に、発作が抑制されている患者さんでは後発薬への切り替えは推奨されませんし、後発薬同士の切り替えも避けた方がよいでしょう。リスクを含めた充分な説明をしてもらったうえで、ご自分がどのようなことを希望するかしっかりした意志表示をすることが大切です。

ただし、治療をはじめるときに後発薬を使用することに問題はありませんし、発作が抑制されていない場合にも問題は少ないでしょう。

後発薬には多くの種類がありますし、名前もさまざまです。間違えることのないようにしましょう。年齢や用量に応じて切り替え可能な製剤があるかどうか、供給が安定しているかどうかなども考慮すべき点です。

不明の点は、経済的問題などを含めて、主治医とよく相談してみることが大切です。

日本てんかん学会、日本小児神経学会では以下を推奨しています。

「てんかん患者の抗てんかん薬治療においては、先発医薬品と後発医薬品、あるいは後発医薬品同士の切り替えに際して、医師および患者の同意が不可欠であるとともに、充分な情報提供が求められる。」